20代からヘアメイクアップアーティストになるには?〜元ヘアメイクアップアーティストが教えるリアルな転職情報〜
ヘアメイクアップアーティストに憧れるけど「20代後半からヘアメイクアップアーティストに本当になれるのか心配」という方もいらっしゃるでしょう。
結論から言うと、20代後半からヘアメイクアップアーティストになることは十分可能です。
この記事では、27歳で他業種からヘアメイクアップアーティストになった筆者が、転職事情について説明します。
①ヘアメイクは、エンタメ業界向けと一般の方向けの2種類
②ヘアメイクに必要な資格はない。年齢も関係なく挑戦可能
③ヘアメイクには、コミュニケーション能力や体力が必要
④正社員・フリーランスのヘアメイクがいる
これらを詳しく解説しています。
加藤裕子/ webライター
・ヘアメイクアップアーティスト歴7年、27歳でOLから転身。
・ヘアメイク学校に卒業後、地元でフリーランスヘアメイクとして活動。
・30歳で憧れていたヘアメイクさんのアシスタントになるため上京。
・映画/ドラマ/雑誌/CM/広告のようなエンタメ業界の仕事からブライダルヘアメイク/化粧品ブランドのメイクアーティスト/写真スタジオ/セットサロン/成人式などの一般の方のメイクをする仕事まで幅広く活躍。
・施術した人数は約1万人以上の筆者が体験談をもとにヘアメイクへの転職のお悩みに答えていきます。
- ヘアメイクアップアーティストの仕事内容とスキル
- ヘアメイクアップアーティストになるには?道のりと年収
- ヘアメイクアップアーティストに必要な資格と年齢
- ヘアメイクアップアーティストに向いている人は?
- ヘアメイクアップアーティストに求められる人物像とは?
- ヘアメイクアップアーティストのやりがい
- まとめ
ヘアメイクアップアーティストの仕事内容とスキル
ヘアメイクアップアーティストと一言で言っても、仕事内容は多岐に渡ります。
モデルさんや俳優さんにヘアメイクをするイメージが強い方も多いと思いますが、仕事は大きく分けて2種類です。
①モデルさんや俳優さん・アイドルなどエンタメ業界の方をメイクする仕事
②花嫁さんや結婚式の列席者や化粧品カウンターに来る一般の方をメイクする仕事
この2種類の仕事は、求められるスキルも違います。
仕事内容とスキルについて具体的に解説していきますね。
①エンタメ業界でヘアメイクをする仕事内容とスキル
これらエンタメ業界のお仕事に求められるスキルは、クリエイティブな発想力です。
なぜならば、ファッションの現場を例に例えると、衣装に合うヘアメイクを知識やセンスを頼りに、自分で一から考え作り上げていくからです。
役柄に合うヘアメイクを監督や役者さんなど各部署の人たちと相談し、作り上げていきます。
筆者の関わった現場では、こんな無茶振りなリクエストがありました。
・振り返ると髪の毛の分け目が自然に右から左に変わる。
・その際髪の毛の色がピンクからイエローに変わる。
かなり難易度が高い要望だったので、チーム全員で頭を抱えた経験があります。
その他にも、若い役者さんに老けメイクをして年齢を重ねた表現をする場合もあります。
衣装に合わせた世界観を表現するため、染色やウィッグのアレンジなど、創意工夫が求められます。
筆者がファッションの作品撮りに参加したとき、カメラマンから「尖ったイメージで」と抽象的な指示がありました。
「尖ったイメージ」を自分なりに想像し、黄色と黒のみでメイクを施しました。
ヘアースタイルは赤いウィッグに、ボールのような丸いものを3つ重ねた、奇抜なヘアーを作り上げました。
このように、実際には存在しないものを一から作り上げ、コンセプト通りに表現していくクリエイティブなスキルが求められます。
②花嫁など一般の人をヘアメイクする仕事内容とスキル
一般のお客様をヘアメイクするお仕事では、再現力が求められます。
なぜならば、お客様のオーダー通りのヘアメイクを形にするお仕事だからです。
写真を持参されるケースが多く、同じ髪型にして欲しいとオーダーを受けます。
長さや髪質・髪の色が違うと、同じような髪型に再現するのは難しいですが、少しでもオーダー通りに近づけることが求められます。
このように理想のヘアメイクをヒアリングして、再現することが、一番求められるスキルになります。
ヘアメイクアップアーティストになるには?道のりと年収
ヘアメイクアップアーティストになるには主に以下の3通りの方法があります。
①正社員として就職
就職した会社の事業内容に沿ってヘアメイク業務を行います。
・求人サイトから応募する
・ヘアメイク学校にくる求人から応募
・人からの紹介
・ブライダルヘアメイク
・写真スタジオ
・セットサロン
・化粧品メーカーのメイクアップアーティスト
・テレビや映画のヘアメイク
へアメイクアップアーティストの正社員の求人は人気です。
求人が出たらすぐに応募できるように、常に求人サイトをチェックしてくださいね。
ヘアメイクアップアーティストの正社員の年収は?
正社員として働いた場合の平均年収は、200万円〜500万円程です。
年収に幅がありますが、店長や役職に就くと給与が上がっていきます。
もしくは、技術が上がると給与も上がる傾向にあります。
ヘアメイクアップアーティストの正社員のメリットとデメリット
・会社の仕事があるため、仕事に困らない。
・下積み時代から安定した生活が送れる。
・どれだけ頑張っても、お給料は決められた範囲の額になる。
・自由度が低い。
働き方は、人それぞれによって、合う合わないがあります。
下積み時代から安定した収入があり、決められた業務をこなす働き方が合っていると感じる方は正社員がおすすめの働き方です。
②ヘアメイク事務所に所属
マネージメントを事務所にお任せできるのでヘアメイクの活動をサポートして貰えます。
・紹介してもらう
・スカウトされる
・事務所に直接自分から売り込む
・求人サイトから応募する
・テレビや映画・CMなどの映像系のお仕事
・雑誌や広告などの紙面のお仕事
・ファッションショー
・アーティストのライブのお仕事
・ブライダルヘアメイク
ヘアメイク事務所に所属した場合の年収は?
ヘアメイク事務所に所属した場合の平均年収は、100万円〜500万円程です。
下積み時代はギャラが低く、生活が厳しい場合もあります。
3年〜5年目くらいから自分のお仕事ができるようになると、生活ができる水準にまでギャラが上がる傾向があります。
ヘアメイク事務所に所属した場合のメリットとデメリット
・事務所がお仕事を管理してくれるので、営業などの必要性がなくお仕事に専念できる。
・下積み時代から事務所の先輩のお仕事にアシスタントとして付いていけるので、いろんな現場を見て学べる。
・下積み時代はギャラが少なく生活に困るケースがある。
・撮影が深夜にも及ぶ場合があり、生活が不規則になりやすい。
ヘアメイク事務所の魅力は、事務所の先輩のお手伝いをしながら様々な現場の経験が積めること。
先輩によっては、CMのお仕事が多い人や雑誌の仕事が多い人がいます。
様々な現場を経験することで自分の得意分野を見つけ、働きながらキャリア形成ができます。
③フリーランスとして活動
ヘアメイクアップアーティストの活動以外に、営業やお金の管理・事務仕事まで全て自分で管理する働き方になります。
フリーランスとして活動した場合の年収は?
フリーランスのヘアメイクアップアーティストとして活動した場合の平均年収は、0円〜1,000万円以上まで幅が有ります。
フリーランスの年収は自分次第。
お仕事をしなければ収入は有りませんし、お仕事をすればするほど収入が増えます。
また売れっ子になればなるほど、1回のお仕事のギャラも増えていきます。
フリーランスとして活動した場合のメリットとデメリット
・好きな仕事を好きなタイミングで出来る
・毎日新しく出会う人と仕事をするので人間関係が煩わしくない
・刺激が多く自由度が高い。
・生活が不安定。仕事をしなければ生活に困る場合もある。
・自由度は高いが、体調が悪いと誰かと交代できない場合が多い。
よって責任がとても重く体調管理を自分で厳しく行わなければならない。
ヘアメイク事務所に所属またはフリーランスで活動する場合、下積み時代は生活が厳しそうでネガティブなイメージを持つかもしれません。
しかしながら、技術が身につけば時給3,000円のヘアセットのお仕事などがあり、生活費を稼ぐ方法はあります。
ヘアメイクアップアーティストに必要な資格と年齢
へメイクメイクアップアーティストに、資格は必須ではありません。
年齢制限もないので、何歳からでも始めることができます。
これらは筆者が現場で体感したことです。
それでは詳しく解説していきますね。
ヘアメイクアップアーティストに必要な資格
ヘアメイクアップアーティストとして活動するならば、「美容師免許」を保有していると有利です。
特に正社員で就職を目指す場合、募集要項に美容師免許必須と書かれているケースがあります。
他にもメイクアップの技術を証明する資格もありますが、現場で役に立ったと感じたことは、ほぼありませんでした。
ヘアメイクアップアーティストの年齢
筆者の現場経験によると、ヘアメイクアップアーティストの年齢は20代〜60代と幅広く活躍しています。
アシスタントとして下積みを経験する年代は、10代〜20代前半が最も多く感じました。
一般的に20代後半〜30代にかけて独立し、自分の仕事をすることができるようになります。
ヘアメイクアップアーティストになるために美容師資格と年齢は関係ない理由
資格は保有しているに越したことはありませんが、必要はありません。
年齢も始めたいと思った時が始めどきで、何歳からでも始めることができます。
なぜならば、筆者は資格なしで27歳でフリーランスとして活動を始め、30歳でアシスタントについた経験があるからです。
例えば、筆者の経験では資格なしでブライダルヘアメイクのお仕事をしていました。
ブライダルヘアメイクは、比較的求人票に「美容師免許必須」と記載されているケースも多いですが、すべてではありません。
資格が必須ではない会社に応募すれば良いでしょう。
セットサロンや写真スタジオでは、美容師の資格の有無を確認されることは一度もありませんでした。
また、アシスタントとして映画のヘアメイクに携わっていた時も、全く問題ではありませんでした。
美容師免許を持っているかよりも、たくさん手を動かして早く技術を身に付けることが大切だと思います。
ヘアメイク仲間の中では、仕事をしながらを免許を取得した人も。
このように、後から資格は取れるので、まずは一歩踏み出すことをおすすめします。
ヘアメイクアップアーティストに向いている人は?
ヘアメイクアップアーティストに向いている人の特徴をまとめました。
①コミュニケーション能力
②勉強が好き
③体力がある人
④切り替えが上手
それでは、これらを詳しく解説しますね。
①コミュニケーション能力がある人
筆者が現場を経験して感じたことは、ヘアメイクアップアーティストに一番必要なスキルはコミュニケーション能力です。
なぜならば、必ず多くの人と関わる仕事だからです。
エンタメ業界のお仕事も一般の人をヘアメイクをするお仕事も、イメージしたものをクライアントと合致させるところからスタートします。
万が一、イメージが違った場合は、一から作り直しを命じられるケースがあります。
クレームに発展してしまうケースもあるので、しっかりと頭の中のイメージを言語化して伝え合うコミュニケーション能力が必須になってきます。
②勉強が好きな人
ヘアメイクアップアーティストは、流行に敏感である必要があります。
なぜならば、ヘアメイクアップアーティストに求められるのは最新の技術。
例えば、美容室で少し前に流行したヘアスタイルにされてしまったら、どのように感じるでしょうか?「もう利用したくない」と思いませんか?
ヘアメイクアップアーティストも同じです。
日々進歩する技術を常に勉強しなければ、すぐに古い技術になってしまいます。
これらのことから、勉強が好きな人には向いているお仕事だと言えます。
③体力がある人
ヘアメイクアップアーティストのお仕事は、長時間立ち仕事でありハード。
撮影現場では、長時間拘束の他に不規則な生活になります。
筆者が経験した各現場を例に解説していきますね。
映画の現場では3ヶ月の撮影期間中、睡眠時間は1時間あるかないか。
お休みの日は1日もないという経験をしました。
筆者は体は強いほうでしたが体調を崩し、ドクターストップになり仕事をやめざる追えなくなりました。
①新郎新婦が結婚式を行う3時間前には現場に到着。
②ドレスチェック
③新郎新婦のヘアメイク
④挙式のアテンドや披露宴のアテンド
⑤2次会のアテンドがある場合もあります。
⑥新郎新婦のメイクオフ
このように、ブライダルの現場も長時間拘束です。
現場に入れば、休憩時間はほとんど取れません。
④切り替えが上手な人
特にヘアメイクアップアーティストになって数年間はクレームを受けたり、先輩に怒られることが多々あります。
筆者も始めたばかりのころは、2時間延々とクレームを受けたほろ苦い経験が。
そのクレームを引きずって、その日の仕事に集中できず新たにミスした経験も。
クレームを受けても、すぐ切り替えることができる人は強みになります。
ヘアメイクアップアーティストに求められる人物像とは?
筆者が現役のころ「素直さ」がヘアメイクアップアーティストに一番求められると感じました。
実は技術より重要視する印象が強いです。
なぜかというと、下記が重要視されているからです。
2.指摘されたところを素直に受け止めて改善してくれるのか?
どのヘアメイクの現場でも、スピード勝負。短時間でクオリティを高く完成させなければいけない為、指示に時間を取られることが難しいです。
また直して欲しいところを素直に聞いてくれない場合、時間をかけて説明することができません。なので素直に改善してくれる人が現場では求められます。
また素直に指示を聞けることや、指摘を改善できると技術力も上がっていきます。
ヘアメイクアップアーティストのやりがい
筆者はヘアメイクアップアーティストのお仕事に、大変やりがいを感じました。
メイクで人を幸せにすることができたから。
笑顔になったり、感動してもらえたからです。
以前、大切な方を亡くされて1年間外出ができなくなった女性を施術しました。
その方は、筆者のメイクを大変気に入ってくださいました。
そして「今日勇気を出してここに来てよかった。こんなに自分が綺麗になれて、前向きになれた。これから子供達に会いに行こうかな。泣いて喜ぶかもしれない」と嬉しい言葉をいただき、心の底から感動をしたのを覚えています。
また、自分が携わった映画作品を大きなスクリーンで見たときは感動します。
そして映画を楽しんで見てくれたお客さまの顔も満足そうだと、嬉しくて幸せを感じます。
このようにヘアメイクアップアーティストは人を幸せにできるお仕事であり、とてもやりがいを感じる仕事です。
まとめ
①正社員・ヘアメイク事務所に所属・フリーランスとして活動と大きく分けて3通りの方法がある。
②資格や年齢は関係がないので、やりたいと思った時が挑戦するタイミング。
③下積み時代があるので、すぐに食べていくことは厳しいが、その分やりがいのある仕事である。
筆者はヘアメイクアップアーティストとして、さまざまな経験をしました。
例えば海外で現地のスタッフと数ヶ月間映画の撮影や憧れていた監督や役者さんとの仕事をするたびに、毎日現場にいることが夢のようでワクワクして過ごしていました。
自分のメイクに涙を流して喜んでもらうと心の底から「この仕事をして良かった!」と震えるほど幸せを感じることも。
一歩踏み出してみたいけど迷っている方は、まずはメイク学校の説明会に行くことをおすすめします。
この記事があなたのお役に立てたら幸いです。